分散投資は弱者の戦略
◎資産運用は将来の予測
個人がポートフォリオを考えるときに問題となるのは、これから先のことを考えないといけないということです。将来の資産クラスごとの騰落率の比較があらかじめできるのであれば誰も苦労をすることはありません。問題はこれから先どうなるかわからない市場をどう組み合わせるのが良いのかわからないということです。
もし、投資家が自信に満ち溢れており、たとえば、「日本株式が絶対もうかる」と断言できるのであれば全く問題ありません。すべての資産を絶対もうかると思う資産に投資してしまえばよいのです。
◎予測に自信が持てないから分散投資
問題は、ほとんどの投資家はそういった自信が持てないということです。市場の動向を機敏に掴み取ることはプロの投資家でも難しいことですから、一般の個人が先を読んで成功すると考えるのは少し甘いかもしれません。それでは個人の投資家はどうすればいいかというと、最悪のシナリオを回避するように動けばよいということになります。そのために必要になってくるのが分散投資なのです。
基本的な考え方は、
(1)日本で生活する以上、邦貨建資産を中心に考える
(2)投資するお金を海外株式、海外債券、国内株式、国内債券、不動産および商品(原油や金、穀物など)に分散投資する
(3)一部のお金を預貯金で保有するということに加えて、資金を頻繁に移動させない(一部の資産を解約して、他の資産を買い増す)
ということです。
一部の資産が値上がりしたことを見て、「もっと投資しておけばよかった」と思うのではなく、値下がりした資産を見て、「他の資産を持っていたから損失が少なくて済んだ」と思えるようになればいいと思います。
分散投資とはプロのためにあるのではなく、一般の投資家にこそ必要なものです。